僕の備忘録とか

記録とか適当に思想ばらまいたり

ほんの記録

青春小説を楽しめる心があってよかった

 

記憶はモノを媒介する?

 完全に私見であるが、思い出すという化学反応においてモノは触媒の働きをすると思う。普通に日々を過ごしていたら思い出せないものが頭に浮かんでくる。例えば、昔に読んだ小説を読むと、その小説の内容だけでなく、それを読んでいた僕の当時の光景が浮かび上がる。あの時は、、、まだ中学生で、コロナ休校で、ちょうどボカロにはまったころだ、というように。

 よって、懐かしむという行為が好きな僕にとって、モノの保管は不可欠なことだ。しかし、保管が無理なこともある。――今回のように、借りた本ならば。

 娯楽としての読書を好む僕としては、やはり心に訴えた小説の記録をせずにはいられない。忙しくなって昔懐かしむ暇すらなくなって、その小説をもう読まなくなる、という未来は嫌である。せめてこのようなブログ記事に残せば、いつかその記事を見直してまたどっかの図書館で借りるということができる。記憶の修復である。(この点、本というモノは優れている。サイアク無くしてもどっかの書店に行けばいいし、インターネットのシステムが死なない限りは電子書籍を読めばいい。まぁ図書館が本を全部保管すると思うが。)

 ほんのちょっとした本の記録だが、本の内容の記述は最小限で、そこから考えることをただつらつら書いてみる。今回の小説を読んでない人にとっては論理的におかしい文章になると思う。あと上手く整理できてなく、散文的かも。いつも以上に僕向けの文。

 

僕がいない世界

 本日2024/3/17に読み始め、数時間で読破した。米澤穂信さんの「ボトルネック」という小説。図書館でてきとーーに本を眺めたら、あらすじにビビッときてそのまま借りた。ここら辺の直感はやはり正しいもんだ、僕(18)もまだまだ衰えてない。

 一言でいえば、、、ミステリーとファンタジーを添えた青春小説。まぁ内容はwikiに書いてあるからいいとして。

 この小説のカギは、「僕がいない世界」の存在。この話では、主人公がいない世界とは、彼の前に出来たがおなかの中で死んだことになっている姉が何事もなく生まれ、主人公が生まれなかった世界のこと。(主人公の居る世界の両親は、姉とされる赤ちゃんがおなかの中で死んだため、もう一度やって彼を産んだ。よって彼と姉が両方いる世界線は存在しない)彼が生まれた世界と、彼女が生まれた世界は、大筋は同じだが彼、彼女の周りの出来事はそれなりに異なる。ある女子の生死など。そして、一見したところでは、主人公が生きる世界の方が悪い結果になっている事が多い。その女子は死に、ある店は潰れ、両親の仲は悪い。

 彼は、色々あって(ここに書くには長いし複雑)姉の居る世界に入った。記憶は引き継いだままである。感情が薄く受動的で不可思議なこともなんとなく受け入れる彼とは対照的に、彼女は陽気で能動的で、想像力を働かせる。(個人的にこの姉のキャラ大好き)パラレルワールドの描き方はいろんなSF作家が独自に行っているが、今回の話は、彼/彼女が直接影響を与えたものだけ結果が変わり、その他は全て共通。彼女の居る世界に彼は存在しない。

そのいろいろあって姉の居る世界に入った彼は、彼女につれられるままに彼のいる世界に戻ろうとする。ここで、彼は次第に彼女の居る世界と彼の居る世界の相違点を知り、さらに彼女のおかげでだいたいは彼の居る世界より良い世界になっていることを知る。結果、彼は姉をうらやむようになり、生きる気力もなくなってしまうところで、彼はまた彼の居る世界に戻る。

 ここでやっと本の内容から離れる。...僕の代わりに全く別の人が生まれた世界は、どうなっているだろうか?もちろん本小説(?)と同じく、ウクライナ情勢や今の日本政治といった、僕が全く関与してない事象は全て不変とする。

僕自身の性格を見つめなおすと、主人公側の方が近いと思えるだけに、想像力をめぐらしたくなる(一行矛盾?)。なんか、、、もし僕がもっと明るくて、運動神経もよく、その代わりに頭が悪かったら、また別の友達と積極的に遊んでいるだろう。ただ、決してどちらが良い、悪いとは決められないかな、とも思う。僕がもっと頭が良くて京都に行けても、落ちても、そもそも受けようと思えなくても、そもそもそも大学受験とは縁がなくても。良い悪いの問題では一概に対処できなさそう。

ちなみにこのような二面性は、主人公の兄(姉がいる世界では生きており、主人公がいる世界では死んだ)も同じように言及しており、主人公はそれを馬鹿らしいと思っている。

 

主人公と姉

 正直姉のキャラが好きなだけかもだが、個人的に気に入ってるのは、最後主人公が自殺しようとするとき電話が鳴るシーン。電話先は、主人公の姉ということになっている。非現実ではあるが、実は主人公が彼女の居る世界にいたとき、彼女が主人公のケータイ番号とメアドを尋ねたシーンがあり、伏線は張られている(これはお見事)。

電話先では、彼女はそれまでと同じように、想像せよ、思考せよと言う。世話焼きの性が世界線を超えているのだ、、、。話の内容としては本質的ではないが、

個人的には感動した。その後実際、彼女の言われるがままに彼はあることを想像して、実際にすぐ自殺しようという気にはならないようになった。(このように濁すのは、最後、彼が思いとどまるか自殺するかの結末が明らかにされてないため。)それ以前では、彼はこのまま生きる、彼がいない世界の方がよかったと知ったまま後悔の念に駆られて生きるよりは、死の解放を求めていたような言及がある。しかし、電話がかかり彼があることの想像を働かすと、生きるか死ぬかを自分で選択できなくなっているのだ。その点で、生きるという選択肢が死ぬという選択肢と対等になり、彼女の電話は思いをとどまらせた要因といってよい。後に、迷っている中最後に彼女からメールが届いて、彼は微笑んで話はおしまい。

――恥をかかせるだけなら二度と帰ってこなくて構いません。

 もう一つ言うなら、彼は彼女の居る世界で過ごした三日間の最後には、彼女をねたみ、もはや不幸が起きたら喜ぶほどであった。それはそうだ、僕でもうらやむに決まっている。その後彼の世界に戻って電話がかかっても、彼は彼女の声をもう聴きたくないと言った。しかし、彼女の言った想像によってこそ、彼は不可思議な現象を見つめなおし、最終的に彼女のメールに微笑む。この心の移り変わりは面白い。僕としては、彼は自殺をせず、そのまま生きていくのかなと思う。というかそうであってほしい。

 

今日はここまで

 まぁ、文章を理解できなかったら借りて読めばいいだけですね。僕はこの「ボトルネック」という話は好き。適当に図書館で拾って本当に良かった。これで人生がまた一つ豊かになったな。不思議な感情になる。笑える系ではなく、考えさせられるも感動する、、、正直○○系では捉えにくい笑。決して説教めいた描写もなく、結末もある程度は読者にゆだねられているので、典型的な勧善懲悪のしょーもない古典の訓話や道徳の教科書の物語を嫌うひねくれ者でも読める。なにより、姉と主人公の掛け合いが好き。一人っ子の僕としてはうらやましい。。。探偵チックな女子キャラが好きな僕にはジャストであった。米澤穂信さんのは、「氷菓」も読んだがあれも面白かった。やっぱ年代が近いのはいい事なのかな、すらすら読めた。課題図書としても推薦できる。正直某ホームステイ本と少しテーマは似ているが絶対こっちのが面白い。

もしこのブログを読んだ忙しい社畜大人の自分もまた借りて読み返してみてください。青春を思い出すとともにまた新たな考えを持てると思う。

ここまで読んでくださりありがとうございました。頭にある断片的なことをかいただけなのでいつも以上に拙いし論理的でない文章であったと思います。こればっかりは申し訳ないです。